チャリンコ担いで
六本木時代も横浜時代も チャリンコは手放せなかった。 行きはいいのだが 演奏の仕事が終わるのが遅い。 六本木の頃は、終わるのが25時。 とっくに終電は終わっている。 なので担いでった折り畳み自転車を 道端で組み立てて江古田まで帰る。 スーツも脱ぎ捨て...
多重録音
最初はMTRからだった。 マルチトラックレコーディング いわゆる多重録音のこと。 20代前半の頃 ティアックの4トラックの オープンデッキとミキサーを ローンで手に入れた。 と言ってもたったの4チャンネル。 単純に考えても4回しか録音できない。...
定食屋
定食は、取り敢えず“安”ければ嬉しい。 お江戸の頃は江古田と言う 学生街に住んでいたので 安い定食屋が何軒かあった。 仲間内では”レモン”と呼んでいた定食屋は 確か一番安い定食が¥250だったと思う。 コロッケ定食だったかな。 僕はいつも唐揚げ定食¥350を食べていた。...
JAZZ喫茶の想い出
お江戸に出て 初めて行ったJAZZ喫茶は 池袋のジャンゴだった。 狭い店内の奥に JBLのパラゴンが デぇぇ〜んと据えてあった。 そこで珈琲をすすりながら いろんなJAZZを神妙に聴いた。 70年代のJAZZ喫茶は、 お喋り禁止だ。 もし少しでも喋ろうものなら...
キビシイ現場
過酷な演奏現場の話。 ピアノ弾きは 自分の楽器を持って行けない。 もちろんエレピなら持って行けるが、 生のピアノの代わりにはならない。 というか゛別物゛だと割り切って 弾かないと、腹が立ってくる。 下高井戸の某LiveHouseのピアノ。 弾いた鍵盤が元に戻らず、...
鈴の音
不思議な事は突然起こる。 昔、父ちゃんが病床で 「琵琶が聞こえる。」と言った。 てっきり病人の幻聴だと思っていた。 が、父亡き後、自分も琵琶を聴いた。 よく晴れた昼下がり 床の間から突然それは鳴り出した。 ちゃんとした演奏だった。 壮大な曲だった。...
白痴
黒澤明監督の「白痴」を観たのは 池袋の文芸坐だった。 画面のコントラストが強烈だったのと 森雅之の迫真の演技だけを 鮮明に覚えている。 雪まつりだかで お面を付けた人達が 焚き火の周りを回るシーン。 三船敏郎とは対照的な 弱々しく怯えた森雅之。...
一力の夜
立ち食い蕎麦が好きだ。 安くて早いからいい。 なので味は二の次になる。 が、うまいに越したことはない。 山手線の恵比寿から 日比谷線に乗り換えるとこにある 立ち蕎麦のたぬき蕎麦がうまかった。 横浜関内のクラブOの前にあった 立ち蕎麦のざる蕎麦もうまかった。...
画鋲とマッチ箱
ステレオなる物が家に来たのは 小学5年の頃だった。 父ちゃんが気張って 買ってきた。 かなり嬉しかった。 が、持っているレコードは 小4の頃ジャケ買いした ダニエルビダルの「ピノキオ」の シングル盤だけだった。 でもその前に、 付いてきたお試しレコード...
名古屋だがや
高校の時、ドラムの広田君が 名古屋のYAMAHAへ通っていた。 先生は、あの゛猪俣さん゛!! すんごく羨ましかった。 そんで僕も親に頼んで 月に2回だけ習える事になった。 本当は4回だけど‥。泣 先生はS木A子先生。 どんぐり音楽会のピアニスト。...