

定食屋
定食は、取り敢えず“安”ければ嬉しい。 お江戸の頃は江古田と言う 学生街に住んでいたので 安い定食屋が何軒かあった。 仲間内では”レモン”と呼んでいた定食屋は 確か一番安い定食が¥250だったと思う。 コロッケ定食だったかな。 僕はいつも唐揚げ定食¥350を食べていた。 鳥の唐揚げとキャベツの千切り それにどんぶり山盛りのご飯と味噌汁 それからお新香も付いてたかな。 何故“レモン”と呼んだかと言うと 水の代わりにレモン味の液体が出されるから。 まぁ、無果汁の粉ジュースだと思うけど。 ある日、武田君がボソっと呟いた。 「あの鳥の唐揚げ、たぶん鳩だよ。 だって骨が細すぎるもん。」 ちょっと衝撃的な一言だったけど そう言われてみれば骨が細すぎる様な‥。 でも安いし旨いからいいのだ! おもしろかったのは、 そこでいろんな人に出会った事。 ミュージシャンはみんな貧乏なので みんな“レモン”派なのだった。 田口君とばったり会って 仕事をもらったこともある。 さてもう一軒、こっちは強烈に安い店。 ”愛情ラーメン”。 ラーメンとチャーハンで¥210!! 当時でも


JAZZ喫茶の想い出
お江戸に出て 初めて行ったJAZZ喫茶は 池袋のジャンゴだった。 狭い店内の奥に JBLのパラゴンが デぇぇ〜んと据えてあった。 そこで珈琲をすすりながら いろんなJAZZを神妙に聴いた。 70年代のJAZZ喫茶は、 お喋り禁止だ。 もし少しでも喋ろうものなら すかさず「お静かに!」と書かれた メモがテーブルに置かれる。 どこのJAZZ喫茶でも みんな静かにJAZZを聴いていた。 独特の暗ぁ〜いムードがあった。 ただ首や体を揺するのはOKなので 通を気取った兄ちゃん達は みんなしきりに首を振っていた。 当時、今のように、 なんでも聴ける環境では無かったので、 良いのがかかるとトイレに行くフリをして レコードジャケットをチラっと見て記憶し 後で隠れてメモしてた。 「ジャケットを手にとって見るってのは 田舎者か素人のやる事だ!」 みたいな暗黙のルールがあった。 またリクエストも微妙で、 とりあえず一日一回 それも変なのを頼むと 思いっきり嫌な顔をされたり 嫌味を言われたりした。 全体にどこもバップが主流で マッコイのFly with the Wind