耳コピー
子供の頃、音楽は聴くだけで満足だった。カセットに歌謡曲をいっぱい録って毎日飽きずに聴いていた。当時の歌謡曲は歌詞などほとんど覚えている。
中学生になってフォークが好きになり安いギターを買ってもらってギターを始めた。ケメの真似をしてクラシックギターにスチール弦を張った。さっそく教則本も買って取り組んだのだが、何だか冴えない曲ばっかりで萎えてしまった。まあ、AmとE7だけの曲なんてツマラナイ曲に決まってはいるのだが‥‥。
それでもコードを少しづつ覚えて行った。みんながつまづくFコードも、「なんちゃってF」で乗り切った。
そうこうしているうちにたくろうの曲が何となく弾ける様になって来た。もちろん最初は曲集を見てたのだが、そのうち楽譜は要らなくなった。
ギターのいいところは、「カポ」という秘密兵器があるところだ。CかGかで始めれば、あとは何カポかを探れば何とかなるのだ。半年もやってくるとかなり音が拾える様になってくる。いわゆる「耳コピー」というやつだ。最初はコードだけとってジャカジャカ弾いていたのだが、少しづつだがアルペジオも弾ける様になって来た。中2の頃は、あの「旅の宿」LPバージョンもかなりそっくりに弾ける様になっていた。
しかし、高校生になってEL&Pにハマった途端、挫折を味わう事になる。もちろんその頃はピアノ弾きを目指していたので、ピアノでエマーソンに臨んだのだが、まったく音が取れない。コードも複雑だし何たって早弾きなのだ。ギターみたいなカポも無いし‥‥。
EL&Pでまったく自信を無くしていた時に小森君にバンドに誘われた。クラプトンとかウイッシュボーンアッシュとかのコピーバンドだった。EL&Pでボロボロになっていたお陰か、コードくらいなら何とか取れた。それで何とかキーボードの役割がこなせたのである。もちろん右手しか弾いてはいなかったが‥。
因みにクラシックギターにスチール弦などを張ると3、4ヶ月でネックが反ってしまうので真似はしないでね。