一力の夜


立ち食い蕎麦が好きだ。

安くて早いからいい。

なので味は二の次になる。

が、うまいに越したことはない。

山手線の恵比寿から

日比谷線に乗り換えるとこにある

立ち蕎麦のたぬき蕎麦がうまかった。

横浜関内のクラブOの前にあった

立ち蕎麦のざる蕎麦もうまかった。

んで登場するのが「一力」。

関内駅の近くにあった。

居酒屋も併設してる店。

メチャメチャうまくはないのだが、

何故か毎日食べてた。

ちょっと甘めの出し汁で

油っこい天ぷらを乗せるのが

好きだった。

そこのオバはん。

普段は日本語だけど

怒ると韓国語で怒鳴ってた。

だらしないオヤジ達が

よく怒鳴られてたな。

んで蕎麦を食べてピアノを弾きに行って

関内から伊勢崎町の店とか回って

終わったら皆んなで一力で呑んで

始発を待ったりもした。


店内は微妙に傾いていて

なんとなく自分も傾いて呑む。

壁と柱に隙間がある。

煮込みとか串カツとかを

威勢よく頼んでいると

お銚子一本で朝まで粘ってる

おっさん達から羨望の眼差しが

刺さってくる。

まぁ、気の毒とは思うけど

こっちは仕事終わりで

パァ〜!としたい気分なので無視する。

バンドマンは仕事が深夜に終わるので

行ける居酒屋が少ないのだ。

探すのが面倒くさい時は

デニーズに行く。

朝の通勤の人達を見ながら

ヘベレケに酔っ払う。

そんでその後、店長が現れて

店のアルコール飲料が

すべて完売した事を告げるのだ。

なんだか若い頃は

ピアノを弾いてるか

呑んでるだけの日々を送っていたなぁ。

寂しい事に

関内「一力」は閉店した様だ。

むむむ。

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