駄菓子屋の想い出
昭和30年代の終わり頃
子どものこずかいは10円だった。
もちろん毎日貰える訳ではないのだが‥。
それを握りしめて駄菓子屋へ走る。
こうどう保育園の前に「加藤商店」があった。
お菓子から飴、オモチャ、クジ、イモ天‥。
とりあえず5円を投じてくじを引く。
戦艦やピストルのオモチャなどが当たるのだが
滅多に当たらない。当たった記憶もない。
でも良いのだ。夢を買っているのだ。
それで後は残った5円で
2円の飴と3円の飴を買うのだ。
ガラスの入れ物に綺麗な飴が並んでいる。
確かひとすくい1円50銭とかからだった。
ちょっとデッカい飴は実はあまり美味くない。
ちょっと小さめなのがうまかった。
また、たまにはイモ天も買った。
高山のイモ天は味つきだ。
甘辛の味が付いている。
ところで某「○野」。
確か5つの頃、
2週間引き続けたクジがあった。
デッカい「王将」のチョコレートが一等賞のクジだった。
とにかく欲しかった。
毎日毎日スカスカスカスカが続いた。
そんな日が続いたある日
「一等賞!!大当たり!!」が出た。
「やったぁ〜!!」と大喜びで
おばちゃんから「王将」を受け取った。
が、その時気付いた。
「か、軽い!?」
さっそく家で袋から取り出してみたら
上げ底だった。0.5mmくらいの板状の物が
「王将」の形に打ち出されている代物だった。
かなりショックだった。
見た目は少なくとも
4cmくらい厚みがあるように見えたからだ。
ただショックはまだまだ続く。
口どけがないのだ。
というかチョコの味もしないし
全然お菓子ではない代物なのだ。
考えてみれば真夏の炎天下、
店先で2週間陽に当たっていても
溶けない代物なのだ。
Shing118少年はこの時
人生の無常を初めて身にしみて感じたのでした。
ちゃんちゃん。