画鋲とマッチ箱
ステレオなる物が家に来たのは
小学5年の頃だった。
父ちゃんが気張って
買ってきた。
かなり嬉しかった。
が、持っているレコードは
小4の頃ジャケ買いした
ダニエルビダルの「ピノキオ」の
シングル盤だけだった。
でもその前に、
付いてきたお試しレコード
゛素晴らしきステレオの世界゛を
聴いてみた。
なんだか民族音楽みたいな奴も
入ってたけど、
一番ぶっ飛んだのは、
汽車が左の方から走って来て
目の前を通り
右の方に走り去った事。
なんで???
どおして???
まぁ、それがステレオなのだが‥。
そのカラクリが分かるのは
何年もしてからだった。
そんでそれからは毎日
おんなじレコードを聴きまくった。
しばらくして父ちゃんが買って来た
゛日本軍歌大全集゛も
聴きまくった。
それからは小遣いを貯めては
小坂楽器に走った。
当時、歌謡曲も好きだったが、
TVの歌番組で録音出来るので
(ラジカセではなくカセット録音機。
もちろんモノラル。せこいマイクで録る奴。)
テレビでは聴けない曲を集めていった。
ちょっとずつ集めて行って
コンプリート出来たのが
゛ジローズ゛。
(もちろんシングル盤。)
フォーク系の人達は
テレビに出ないから
レコードかラジオで録音してた。
あとは岩垣君から借りてきて
せこマイクをスピーカーに押し当てて
地道にカセットに録音した。
その後、母ちゃんが
毎月一枚づつ届く゛世界音楽全集゛
だかをとってくれて
期待して待っていた。
が、タンゴとかフラメンコとかが続き
辟易していたら、すんごくいい奴がきた。
゛パーシーフェイスの世界゛
これは良かった。
大好きになって
毎日穴の開くほど
聴きまくった。
すごく影響を受けた。
また、その頃は何も考えず
「レコードは一生良い音で聴ける!」と
思い込んでいた。
が、高校も過ぎると
レコードの劣化が気になり出した。
レコードはすり減るのだ!!
なので、買ってきたレコードは
すぐカセットに録音し
あとは大事にしまい込んでいった。
今、考えると40年以上前の
スティーリーダンの゛ガウチョ゛や
AW&Fの゛太陽神゛なんかが
今だに゛いい音゛で鳴っているのは
この゛まめな作業゛のおかげだろう。
さて、レコードで驚いたのは゛笑い袋゛。
よく祭りなんかで売っている
あの押すとガハハハと笑う奴。
子供の頃は、なんで鳴るのか
すんごく不思議で、
すぐに分解してみた。
そしたらわかった。
直径8cmほどのレコードが
入っていて、
スイッチを押すと針が落ち
それが増幅されて鳴っていたのだ!
単純に゛凄い!!゛と思った。
たかだか500円位のおもちゃの中に
こんな複雑な物が入っていたのだ!
レコードとプレーヤーと、
それにアンプが内蔵されてる
おもちゃだったのだ!!
あっ、そういえば
レコードがすり減るなんて
まったく気にしていなかった頃。
岩垣君と間所君と3人で
ある゛実験゛をした。
雑誌だかなんかに載っていた、
「カラのマッチ箱の中から画鋲をさし
それでレコードを聴こう!」
というもの。
これが鳴ったのには驚いた。
が、レコードが粉を吹いたのには
もっと驚いた!!
ちゃんちゃん。
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