楽器運びのバイト
二十歳の頃
TフィルやCフィルの
楽器運びのバイトをしてた。
練習や本番のたび
ハープやティンパニなどを
現場に運び入れる。
始まる前に用意して
終わったら片付ける。
その間は自由時間だ。
舞台の袖で聴いてたり
たまには客席に忍び込んだり‥。
その”現場”では
いろんな事があった。
ある高名な I 指揮者。
舞台ではニコニコだったのに
舞台袖からガラリと人が変わり
怒りまくってる。
アンコールの時も
舞台袖まで文句タラタラで
そこでガラリと人が変わり
ニコニコ顔で登場してったり。
演奏してる奴らも
足元の楽器ケースを
演奏中に足で開けておいて
終わったらサッサと帰っていく。
何だか、高慢と言うか、
お仕事ノリと言うか‥。
こんな事もあった。
これはTV関係者の話。
テレAの仕事の休憩中に
廊下でワイドショーを見てた。
人生相談だかで
出演者全員が大泣きして
番組は終わった。
そしたら突然、
目の前のドアが開いた。
今、泣いてた人達が
大笑いしながらぞろぞろ出てきた。
目の前のスタジオでやってたのだ。
この時も
「何だかなぁ〜。」と思ったな。
が、嫌な事ばかりでもない。
おんなじバイトで
フィラデルフィア管弦楽団の
楽器運びもやった。
日本の楽器ケースより
大きくて大変だった。
(フライトケースなのかも)
が、リハ前の舞台裏が楽しかった。
楽団員が陽気なのだ。
特に管楽器の人達。
チューバの人が楽器ケースから、
その名も”フィラデルフィア”と言う
タバコを何箱も投げてくれたり、
バーボンを何本も取り出して
みんなで回し飲みしたりした。
小一時間くらい
ワアワアと宴会は続いた。
言葉は通じなくても
楽しかった。
そんでその日の本番。
その日は上野の
文化会館だったのだが、
先輩の伊藤さんに誘われて
一平と3人で最上階に潜り込んだ。
素晴らしい音!!
確かラベルだったと思うけど
後にも先にも
あんな素晴らしいサウンドは
あれが最後だ。
まあ”生”だからと言うのもあるし
指揮はオーマンディーだし。
もともとクラシックは
嫌いではない。
が、演ってる奴らに
嫌な奴がいる。
もちろんJAZZにも
嫌ゃ〜〜なやつは
ゴロゴロいる。
まぁ、音楽が素晴らしいから
性格もいいとは言えないんだけど。
なので、たまぁ〜に”いい人”な
ミュージシャンに出会うと
すんごく嬉しくなる。
たまぁ〜〜〜にだけどね。
ちゃんちゃん。
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