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アトムの帽子


子供の頃は何でも信じてた。


遊星少年パピィのペンダント。

毎日、食べたくもないガムを

必死で噛んで応募券を貯めて

応募したのがやっと家に届いた。

「よし!これで僕も今日からパピィだ!!」

と意気込んでペンダントの笛を吹いた。

「あれっ!変身しない!!」

何度も吹いてみたが何も起こらなかった‥。


パーマンもかなり本気で信じてた。

日本のどこかに絶対いると思ってた。

友達になりたかった‥。


ある日ビッグXになりたくて

家中を探し、古い万年筆を見つけ

ダイアル3と叫びながら手首に刺した。

「イテッ!!」

血は出たが変身はしなかった‥。


遊星仮面の帽子と仮面とマントが

陣屋前の店の店頭に飾ってあって

欲しくて欲しくて

毎日見に行っていた。

本気で変身出来ると信じてた‥。


その頃、アトムの帽子を買ってもらった。

ビニール製のペラペラのやつで

さすがにコレではアトムにはなれないと思ったが

でもやれるだけやってみようとした。


アトムは上半身裸で、黒いパンツを履き

クルッと巻いた様な靴を履いていた。

なので、とりあえずパンツ一丁になり

黒パンツは諦めて自分の白パンツ

母ちゃんのストッキングを履いて

上から少しだけクルクル巻いた。

アトムの帽子もかぶって

鏡の前に立ってみた。

自分ながら「何とかいける!」と思って

そのまま表に出てみた。

上川原町の裏路地をゆく。

足の裏が痛いがアトムなんだから我慢だ。

少しそこいらを歩いたら近所の女の子に出会った。

その途端、何故かすんごく恥ずかしくなって

家に逃げ帰った‥。


何でも信じてその気になる性質(たち)は

実は今でも変わってはいない。


三つ子の魂百まで

なのであ〜る。



ちゃんちゃん。




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